お酒をやめても、飲み友達との関係を維持することはできるのか。新たな友達はできるのか。お酒をやめた記者はこのような質問をよく受ける。そんな疑問と不安を“ソバキュリアン”の先輩たちに聞いてみた。
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「今度、飲みに行こうよ!」
友人や知り合いと話していると、この言葉を唱えてしまう人は多いだろう。実際にお酒を飲みに行くことになる場合もあるが、単なる社交辞令で使うこともある。
あえてお酒を飲まないことを最近、巷では“ソバーキュリアス”と呼んでいることは本誌で何度か書いた。記者(58)も昨年、ソバキュリアンになった。
お酒をやめたソバキュリアンにはこのフレーズを唱えることができない。では、なんて言えばいいの? いや、お酒を飲まないのなら友達が減ってしまうのか。
ソバキュリアン諸氏に聞いてみた。
横浜市に住む石井誠司さん(74)は、かつては大酒飲みだった。何かにつけ打ち合わせや会合として、夜な夜なお酒を飲んでいた。横浜の中華街で会合することが多く、「干杯!」と言って、杯に入っている酒を何度も一気に飲み干す。その結果、翌日つらい目にあっていた。
70歳を超えて健康を考え、お酒をやめることにしたという。
「一大決心をしたというわけではないです。一生分飲んできたと思ったので、もういいかなと思ってやめました」
すると体が軽くなり、もやもやした気分がなくなった。石井さんは登山を趣味としているので、山に行く回数が増えたそうだ。
「多くの友達も仕事から引退しているので、一緒に山に行く機会が多くなりましたね。酒の勢いで『今度、あの山へ行こう』となるのではなく、しっかり準備して計画を立てて行くようになったので、より充実した山行ができています」
石井さんは、酒を飲まないと周りに宣言しているので無理に勧められることもなくなったという。また、酒を飲まないからといって誘われなくなったこともないそうだ。