先日、昼食時に入った某牛丼チェーンのお店で、聞きなれないオーダーをしているお客さんを見かけました。
「牛丼並を、つゆだく、ネギだく、トロ抜きで…」
確かそう言っていたように思います。
「つゆだく」は聞いたことはありましたが、「ネギだく」「トロ抜き」は初めて。興味津々でその客さんに注目していたところ、ネギが通常より多く盛られた牛丼が運ばれてきました。あとで調べてみると、「トロ抜き」というのは、脂身を抜いて、赤身だけを盛り付けることのようです。
もちろん、そんな商品はメニューには載っていません。
いわゆる「裏メニュー」とか「裏オーダー」というもののようです。
筆者が「裏メニュー」と聞いて思い出すのは、ある繁華街にあるバーの絶品カレーライスです。カウンター10席ほどの小さな店で、お酒のほかには、おつまみ程度しかおいていません。そこのマスターが趣味のような感じで作って、知っている人にだけ出しているのですが、コクがあって最高においしかったんです。もちろんメニューには載っていないので、筆者もその店の常連さんに連れて行ってもらった時に知りました。
飲食店が、こうした「裏メニュー」を提供する理由はいくつかあります。
ひとつは、量が限られていたり、原価が高かったりして、多くの人に提供することができないケースです。先ほどのバーのように、店をよく知っているお客さんだけに出せば、「自分だけは特別」という感情を持っていただけます。
もうひとつは、新商品の反応をみるケースです。期間限定や数量限定で出してみて、本格販売するかどうかを判断するケースもあるようです。
実はくら寿司でもトライしたことがあります。昨年末、「キャベツニザダイ」というお寿司を一部の店で出しました。ニザダイというのは独特のニオイがあるのですが、キャベツを食べさせることでニオイを消すことができました。お客さまの評価が非常に良かったので、今年の夏には全国のお店で本格販売できればと準備を進めています。
くら寿司には、ほかにもこうした「裏メニュー」的なものがいくつかあります。
比較的有名なものは、「トロ鉄火」でしょうか。
これは、通常はマグロの赤身を用いる「鉄火巻き」の具材に、トロを使用しているもので、非常にお得な商品です。ただ、いつもあるわけではありません。トロのにぎり寿司を提供している際にでる端材の部分を使用したものです。さらに、大トロを販売している時期には、具材に大トロを使用したものもありますので、トロ好きの方はチェックしてみてください。同様に、「海鮮細巻き」や「海鮮ユッケ」、「あら汁」なども、端材となる材料がある時だけ提供される「裏メニュー」です。