受験生が選んだのは医療系学部だけではない。
「私大の志願者数は前年比86.3%でマイナス約46万人と大きく減少していますが、理学系の情報関連学科は97.1%とあまり減っていません」(堅田さん)
高校でのプログラミングの必修化や、24年度(25年春)大学入学共通テストでの「情報」新設が検討されるなど、受験生を取り巻く環境は激変している。
アエラでは、大学通信の協力を得て、難関国立大学への現役合格率を算出。旧帝大(東京・京都・北海道・東北・名古屋・大阪・九州)、東京工業の8大学への合格者数の多い上位校を調査し、現役合格率で一覧にした。現役合格率は、各大学への現役合格者数を卒業生数で割った数値。うち、3月末時点で判明している理工医系学部の合格者数も参考までに掲載した。
さらに、早稲田・慶應義塾・東京理科・MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)の難関8私立大の主な理工系学部における合格者数を調査し、その合計数でランキングにした。ただし、現役だけでなく浪人生を含み、かつ、優秀な生徒が複数の学部や学科に合格する「のべ合格者数」で掲載されているので、比較には注意が必要だ。
約2人に1人が東大へ
「東大の合格者数上位は中高一貫の男子校が目立ちますが、その中でも栄枯盛衰があります。今年は奈良県の西大和学園が大きく増やしています。14年度から男女共学になり、昨年初めて女子の一貫生が卒業。51人が東大に現役合格しています」
そう指摘するのは、大学通信の安田賢治常務だ。21年卒の大学入試では、共学と公立の飛躍が目立ったという。
「ここ数年、東大がふるわなかった日比谷も48人が現役合格しました。浪人生も含めると前年比23人増の63人で、1970年の99人合格以来、51年ぶりの60人超です。今年は東大の文系数学が易化したため、入りやすかったこともあり、公立が躍進しました」(安田さん)
そんな中、東大への合格率が43.8%と抜きんでているのが、冒頭の筑駒だ。卒業生数160人に対し、東大現役合格者数はなんと70人。合格者数だけを見れば王者・開成の106人が際立つが、卒業生数の数から割り出すと筑駒の東大への圧倒的な強さが見て取れる。
興味深いのは、東大に受かった70人のうち、約7割にあたる47人が理系という点だ。理科I類に32人、II類に3人、そして東大の中でも難関とされる理科III類には12人の生徒が合格した。