センター試験から大学入学共通テストに切り替わった今年の受験に向けて、現役志向や理系志向が高まっているといわれてきた。実態はどうだったのか。「現役合格率」を特集したAERA 2021年4月19日号では、東京大学におよそ2人に1人が現役合格するトップ校を取材した。
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教室の端から端まで広がる巨大な黒板に、生徒が文字を次々に書き込んでいく。
「そんな数式ありえる?」
「いや、この解き方めっちゃかっこいい」
誰かが解法をひらめけば、また別の誰かが掛け合いのように黒板に書き始める。筑波大学附属駒場(東京都)の授業はとにかくにぎやかだ。
「筑駒にはおしゃべりな生徒が多いんですよ」
そう微笑むのは、同校中学副校長の町田多加志教諭だ。
「授業中は教室の至るところで“沸騰”が起きるんです。質問を投げかければ、想定外の反応が次々と返ってくる。私たち教員は、生徒の学びたいことを邪魔しないように気を付けています」(町田教諭)
校舎は、東京大学駒場キャンパスから歩いて10分もかからない場所にある。今春卒業した160人のうち、70人が東大に合格。名実ともに「東大に最も近い」学校といえる。
医・薬・看護学部が躍進
大学入試改革とコロナ禍に翻弄された2021年度の大学入試。前年の20年度が“最後のセンター試験”で現役合格を目指す安全志向が高まったこともあり、既卒者が減少。最終的に21年度の出願者数は53万5245人で、前年度より2万2454人減った。
だが、すべての学部で志願者数が減少しているわけではない。
代々木ゼミナールの調査によると、21年度入試での国公立大出願状況は法学系が89.6%、国際・外語系が90.1%と減っているのに対し、薬学系107.3%、看護系102.7%と出願が増加している学部があることがわかる。Y‐SAPIX教育情報センターの堅田一郎さんはこう分析する。
「数年前から医学部は志願者減の傾向にありました。ただ、不景気時には医療系に人気が集まる。今年はそれに加えて、新型コロナウイルスのワクチンへの関心が高まったこともあり医・薬・看護学部が躍進しました」