日本語であれば、文中に知らない言葉が出てきても、理解の妨げにならない限りはスルーできる。だが英文の場合は自分の語彙力に自信が持てず、「わからない単語が読み飛ばせない」という人は多い。何度も中断すれば、なかなか先へ進めないし、ストーリーも頭に入らない。次第につまらなくなって読むのをやめてしまうから、英語力も伸びないまま。結果、ますます勉強したくなくなる……という悪循環に陥る。

「多少わからない箇所があってもどんどん先に進みたいと感じるのが、読書のあるべき状態。英語でそれができるのが、マンガということです」と廣政さんは言う。

「それにマンガはストーリーに連続性があるので、最初の1、2巻で一通りのキーワードや背景を押さえてしまえば、続きの内容はスムーズに理解できますよね。これが映画だと一話が90分で完結しますから、次の作品をみるときはまた一から語彙などをチェックする必要が出てきてしまう。そういった意味でも、初級者の学習にはマンガが向いていると思います」

『進撃の英語』は、日本語版コミック、英語版コミック、問題・解説という3つのパートで構成される。一部例外はあるものの、日本語版コミック2ページ→同じシーンの英語版コミック2ページ→コミックに出てきたセリフに関連する問題・解説2ページの合計6ページが1セットだ。

「内容的には、TOEIC730点未満の人向けです。高校生も読めるレベルですが、私が特にこの本をおすすめしたいのは、大学卒業後しばらく英語から離れている社会人。学生時代に文法や語彙を一通り勉強した人が一冊読み切れば、"沈殿した学力"がよみがえり、大学受験当時の英語力まで戻すことができます」

 解説ページのスタイルは、「学習者が過去に勉強した内容を思い出しやすくするために、あえて参考書っぽくしている」とのこと。一方、コミックのセリフをそのまま使った例文は参考書っぽさゼロだが、「巨人に食い尽くされる……」なんて絶望的なセリフも、「近い未来を表すbe going to の口語、be gonna と、devour(貪り食う)の受動態の組み合わせ」といった解説が付くと、しっかり学びの素材になる。

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