「好きなものを着たいという欲求からではなく、自由とは何かという問いかけが『着装の自由』の原点でした。自由とは規則で強制されたものではない、自由とは責任に裏付けされたものであり一人ひとりが主体的に良識的な判断で実現する状態、とわたしたちは捉えています」


 
 制服の自由化が決定された際の学校と生徒のやりとりは音声記録で残されている。新入生は入学直後の生徒会オリエンテーションでこれを聞き、自由化の過程、根本的な考え方を学ぶ。生徒手帳には、「着装の自由」について、「われわれの自由化は常に実証期間である」と記されている。渡部校長が解説する。

「ようするにいつだって生徒が試されていることを当時の生徒会は強調したかったわけです。いまの生徒をみていると、『着装の自由』への理解の度合いはさまざまでしょうが、良識的に判断しており、その意図は伝わっているようです。『着装の自由』は秋田高校の伝統の一つとして定着しており、制服を復活させようという話は出てこないですね」

◆茨城県立水戸第一高校

 前身は1878年設立の旧制水戸中学。県内でもっとも古い。高村祐一校長が話す。

「水戸一高の自由な校風にあこがれて入学する生徒がたくさんいます。生徒はしっかり考えて服を選び、通学にあたって清潔、質素、端正を守っています。かつて夏場は露出が多い服を着る生徒はいましたが、いまは見られなくなりました。私服の良いところを活かしています」

 また、部活動が盛んな学校なので、ジャージで登校する姿も見られる。校名、部が書いてあるので、それが自分たちの誇りと思っているようだ。

 2021年、水戸一高に附属中学が誕生する。中学生はブレザーの制服を着用することになっている。だが、高校入学後に制服は自由となる。

「義務教育期間では、身だしなみをきちんとさせようという教育の一環です。高校生になれば私服になりますが、この期間に自分で考える習慣をつけてほしい」

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