顧客のニーズと生活スタイルの多様化に合わせ、最近はフィットネスクラブもターゲットを絞り込んだ様々なサービスを提供し始めている。都市で働くビジネスパーソンの生活スタイルに合わせ、「24時間・年中無休」で営業するクラブまで現れた。
その名は「エニタイムフィットネス」。米国発祥で、2010年に東京・調布市に第1号店がオープンすると、首都圏を中心に16店舗を展開するまでになった。
施設内にプールやスタジオはなく、本格的な運動器具が並ぶだけ。同社によれば、20~40代の現役ビジネスパーソンを中心に会員は約1万人。ピークは、アフターファイブの18~22時だが、朝の出勤前にひと汗流す人も少なくないという。
他にも、小中学生を中心にしたキッズ向けダンス教室や、「痩せなければ全額返金!!」を売りにするクラブなど、まさに百花繚乱。赤ちゃん対象のフィットネスクラブまであり、こちらはセレブママに人気だという。
実は、日本のフィットネス人口は約290万人(経済産業省調べ)と日本の全人口の2.3%程度に過ぎない。残りの98%近い需要の掘り起こしを狙い、業界は内外入り乱れた戦国時代に突入しているのだ。
「正確には、その98%の中にいる女性を対象にしています」と話すのは、「女性専用の30分フィットネス」で人気の「カーブス」広報室の片桐朋子さん。
もともと05年に米国のノウハ ウを取り入れ、日本初上陸。今では全国に約53万人の会員を抱える大手の一角に成長した。
住宅地と商店街の境。中高年女性が普段着で通える立地に出店を進めてきた。広さは、コンビニとほぼ同じ平均約130平方メートル。そこに腕や脚、腹筋などを鍛える12種類の油圧式運動マシンと12個のボードが並ぶだけ。鏡がなく、化粧が落ちるほど汗をかかないので化粧を気にすることもない。この「お手軽感」が、中高年女性の心をとらえた。
東京都品川区の「カーブス武蔵小山」に5年前から週に3、4回通う女性(45)は、うれしそうに話す。
「肩こりが治って、インストラクターの方も明るいので、楽しいです」
※AERA 2013年6月3日号