新型コロナウイルスの第4波による緊急事態宣言で、外出の自粛が求められた今年のゴールデンウィーク。一日も早く普通の生活が送れるようになってほしいものです。
突然ですが、皆さんは、夜寝るときは、真っ暗にする派ですか?それとも明かりをつけて寝る派でしょうか?
筆者は、かつては明かりがついていても平気で眠れていたのですが、いつの頃からか、夜は真っ暗にしないと眠れないようになってしまいました。一方で、明かりをつけていないと眠れないという人もいますよね。
魚たちの中にも、明かりを好む魚と嫌う魚がいるようです。
堤防などから夜釣りをする時にも、常夜灯の明かりの近くでよく釣れる魚と、逆に明かりがあると逃げてしまうと言われる魚もいます。
明かりを好む魚の代表としては、アジやイワシ、サンマ、タチウオなどがあげられるでしょうか? 他にも、魚ではありませんが、イカも非常に明るい集魚灯で海面を照らして漁をしています。
ご存じの方も多いとは思いますが、これらの魚は光に集まってきているのではなく、光に集まってくるプランクトンをねらって集まってきています。つまり、餌がたくさんあるので集まってきているのです。そして、そうしたアジやイワシなどを狙うフィッシュイーターである、タチウオやイカも餌を求めて集まってくるんです。
では、なぜプランクトンは光に集まってくるのでしょうか? そこにも食物連鎖が関係しています。
プランクトンは、ミドリムシや珪藻(けいそう)などに代表される植物プランクトンと、ミジンコやオキアミなどに代表される動物プランクトンに分けられます。プランクトンとは、水流などに逆らって泳ぐことのできない水生生物の総称。生まれたばかりのエビやカニ、ウニ、ヒトデなども動物プランクトンに分類されます。ちなみにクラゲの多くもプランクトンの一種で、直径1メートル、重さ200キロにもなる越前クラゲもプランクトンの一種です。
動物プラクトンの餌は植物プランクトンですので、彼らも植物プランクトンがいるところに集まってきます。そして、植物プランクトンは、光合成によって自らに必要な栄養素を作り出しているので、光のある所へ集まってきます。
同じく光に集まってくる生き物として、夏の夜に街灯やコンビニエンスストアの明かりなどに無数に集まってくる虫たちがいます。都会ではガの仲間が多いようですが、筆者は子供の頃、夏の夜に実家の網戸に飛んできたカブトムシやクワガタを捕まえた記憶があります。こうした虫たちも餌を求めて集まってきているんでしょうか?
実は虫が光に集まってくる理由については、まだ詳しくはわかっていません。ただ、虫は太陽や月の光に対して一定の角度を保って飛ぶ習性があり、そのため、光に集まってくるのではなく、その周囲をぐるぐると飛び回っているという説もあります。
カブトムシやクワガタはまだしも、やはり無数のガが集まっているのは苦手という方も多いと思います。そうした方に朗報です。虫たちは、光の中でも紫外線に反応しているので、紫外線の出ない光には寄ってこないとのことです。そして、最近普及してきているLEDは紫外線を発しないので、虫は寄ってこないとのことです。最近のコンビニエンスストアの明かりは、LEDが使用されているケースが多いので、虫が集まってきているということはあまりないようです。
一方で、よく明かりがあると釣れない、明かりが嫌いな代表として名前を挙げられるのはクロダイではないでしょうか。クロダイは、非常に警戒心が強い魚なので、明かりがあると警戒して餌を食べないとも言われています。
ただ、クロダイが本当に明かりが嫌いなのかどうかは、まだよくわかっていません。また、魚には赤い光が見えにくいという性質があるとも言われており、最近は夜釣りの明かりとして、赤色のLEDを使う方も増えているようですね。このように、光にも様々な種類があり、性質もさまざまです。
ちなみにくら寿司でも、紫外線の殺菌作用を利用して、一部の店舗で、抗菌寿司カバー「鮮度くん」の表面を殺菌しているほか、遠赤外線を利用してお寿司の表面を均一に炙る「あぶれる君」も導入しています。
○岡本浩之(おかもと・ひろゆき)
1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長
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