※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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白内障データ
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イラスト/今崎和広
イラスト/今崎和広

 加齢により、誰にでも起こる可能性のある白内障。緊急性の高い疾患ではないが、「見えにくさ」が日常生活に与える影響は大きい。近年では、視力の低下と認知機能の関係を指摘する研究報告もあり、注目されている。

【データ】白内障にかかる年代は? 主な症状は?

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 白内障とは、目の「水晶体」が濁る病気だ。水晶体は、カメラのレンズのように、目に入る光の屈折を調節し、ピントを合わせて目の奥にある網膜に映し出す役割を担う。

 白内障の原因で最も多いのは「加齢」だ。一般的に50歳代から発症し、罹患率は60歳代で66~83%、70歳代で84~97%、80歳以上では100%。80歳以上の高齢者は、症状の程度に差はあっても全員が白内障ということになる。

 加齢以外にも、喫煙や放射線、紫外線などの環境因子によるもの、糖尿病やアトピー性皮膚炎、目の病気などに合併して起こるものもある。筑波大学病院眼科教授の大鹿哲郎医師はこう話す。

「一般的に、白内障は中高年以降に発症しますが、アトピー体質の方は若年性の白内障を発症することもあります。目が見えにくいなど、おかしいと思う症状がみられた場合は早めに眼科を受診することをおすすめします」

 水晶体の濁り方は人によって異なる。水晶体の中心部分(核)から濁り始める「核白内障」、周辺部(皮質)から濁り始める「皮質白内障」など、白内障にはいくつかの種類があり、「それぞれで症状が異なる」と岩手医科大学病院眼科教授の黒坂大次郎医師は話す。

■水晶体の状態により症状はさまざま

「健康な水晶体は光を網膜の一点に集中してあてることができ、それにより、はっきり見えます。しかしレンズが濁ったり、ゆがんだりすることで光が通りにくくなったり、屈折のしかたが変わったりすることで見えにくさが生じます」

 水晶体の中心部から濁り始める場合、最初は光の屈折が強くなるために近くがよく見えるようになり、老眼が一時的に改善されることがある。その後、濁りが周辺部におよぶと、目のかすみや視界が薄暗くなるなどの症状が起こる。一方、水晶体の周辺から濁り始めた場合、初期には症状がなく、濁りが中心におよぶと目のかすみやまぶしさを感じるようになる。

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