日本にような「ワクチン接種のやり方は自治体に任せます」では、人口の半数にワクチンが行き渡るまでに、また大流行した冬がやってきてしまうでしょう。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のレポートによると、ファイザー又はモデルナの新型コロナウイルスワクチンを昨年12月から接種し始めた米国シカゴの75の介護施設で、3月末までに居住者7,931人と職員6,834人が2回目接種を済ませ、その期間に新型コロナウイルスに感染した627人のうち2回目接種から14日以降に感染したのはわずか22人(4%;22/627人)のみだったといいます。また、感染したとはいえそれら22人の6割以上14人は無症状で、22人から施設の他の人への感染は認められず、PCR検査結果によると22人のウイルス量は少なめだったことがわかりました。(※1)
Edara氏らは、ファイザーとモデルナのの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)mRNAワクチンBNT162b2とmRNA-1273のどちらも、インドで見つかって広まる変異株B.1.617.1に有効なようであり、どちらかのmRNAワクチンで備わる免疫はB.1.617.1変異株にも打ち勝てそうだと著者らは言います。(※2)
米国では、ワクチン接種が完了した人は、屋外に加えて屋内でのマスク着用義務が解除されることになりました。日本でも、ワクチン接種が順調に進み、そんな日が1日でも早くやって来ることを願っています。
※1)https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7017e1.htm
※2)https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2021.05.09.443299v1
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員