日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「世界と差が開く新型コロナウイルスワクチン接種状況」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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高齢者を対象とした新型コロナウイルスワクチンの接種が、本格的に始まりましたね。私も、勤務先のクリニックが担当するの集団接種やクリニックでのワクチン接種に加え、福島県の相馬市のワクチン集団接種にもお手伝いに行くことが決まり、しばらく慌ただしい日々になりそうです。
「やっと接種できたよ」と滋賀県に住む祖父母から電話があったのが、先週のこと。なかなか予約が取れないと嘆きの電話がかかってきたのが大型連休の頃だったので、予約の取得から接種までのスピードの速さには驚きました。一方、外来に通院している患者さんはどうかと言うと、接種がお済みの方はまだまだ少なく、「なかなか予約が取れないです」とおっしゃる方が多い印象です。歯科医院にお勤めの医療従事者の方は、「ネット予約がなかなかつながらない、やっとつながっても、勤務日でない日に予約がなかなか取れないからまだ未接種です」と言います。
まだまだ、医療従事者であるあるにもかかわらず、接種できていない方がたくさんいらっしゃると聞いています。多くの方に、一日でも早く接種していただきたいと思うと同時に、その一助に少しでもなれたらと思います。
とはいえ、世界の新型コロナウイルスワクチンの接種状況を見る限り、世界との差は開く一方のようです。One World in Dataによると、5月14日時点で少なくとも1回接種した人の割合は、日本は3.18%です。5月15日時点でイギリスは53.5%、アメリカは46.7%、世界平均は8.97%ですから、もうその差は歴然としています。
100人あたりに投与された新型コロナウイルスワクチン接種の1日あたりの数をみてみると、5月16日時点でイギリスは0.77、アメリカは0.59であるのに対して、日本は0.19です。接種開始が約2カ月遅れた上に、1日あたりの接種数でもこれだけの差があるのですから、日に日に差が開いてしまうのも仕方ありません。