芸能人たちの年の差婚が報じられるたびに、SNSでは「私にも経済的に安定した頼りがいのある年上の男性が現れないかな」「俺も若い女の子とラブラブな結婚して若返りたい」などの年の差婚に憧れるつぶやきが多数投稿される。それほど人気の年の差婚、その実態はいかがなものか?
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「最近、全然私のこと構ってくれない!」
フリーの映像ディレクターの山下さん(仮名・55歳)は、テレビ局に15年勤務後に独立したがうまくいかずに悩んでいた40代後半のころ、取材で出会ったスタイリストと意気投合、同棲を経て1年後に結婚した。18歳差の年の差婚だった。若い妻との新生活で仕事に張り合いも生まれ、自然と仕事も好転し結婚5年後には忙しい日々を過ごすようになった。ただ、帰宅も遅くなり、夫婦の“心身の”コミュニケーションも減った。
「出会ったときは仕事も少なく夫婦で過ごす時間も多かった。それは楽しい時間でしたが、2人でおいしいものを食べたい、旅行にも行きたいとなると、働くしかない。必死に働いて成果が出たときは喜んでくれたのですが……」(山下さん)
結婚3年目に妻はスタイリストの仕事をやめ、専業主婦に。山下さんは、家で待つ妻のために飲み会も極力断って帰宅するようにした。だが、どうしても徹夜仕事になる日も出てくる。結婚6年目になると妻は不満を漏らすようになり、ついにブチ切れた。それが冒頭のひと言だった。
徹夜で納品したその日は早く仕事を終えて帰宅。手料理で出迎えられ久しぶりに夫婦の会話を楽しんだ後、「疲れたから早いけど寝るわ」と伝えた瞬間だった。
「あのね、私まだ30代なの。女の盛りなの。もう3カ月以上放っておかれるってどうなのって思わないの?」
その日は話し合いで収まったが、2人の関係は少しずつ変化し始めた。妻はやめていた仕事を再開し、すれ違う日々が続いた。妻がブチ切れた日から約1年後、帰宅した山下さんは妻から「別れましょう」と切り出されたという。話し合いの結果、円満離婚したのは山下さんが54歳、妻が36歳の去年のことだった。年の差婚の甘い生活は長くは続かなかった。