鏡視下手術では、手術支援ロボットを使用した手術が広まっています。ロボット手術は優れた治療なのでしょうか。

「患者さんにとっては、従来の鏡視下手術のメリットと変わりはありません。ただしロボットは『アーム』と呼ばれる手術器具に関節があるので外科医が操作しやすいといったメリットがあります。その結果、合併症が減るかどうかは、現在試験中です」(片井医師)

「手術できない」と告げられると、「治らない」と言われているようで、ショックを受けるでしょう。なんとか手術を受けられないか、と考えるのは当然です。手術ができないのは、全身に転移していてがんを取りきれないと判断された場合や、重篤な持病がある場合です。

「最近は薬物療法が進歩し、たとえ手術できなくても長く生きられることもあります。取りきれないとわかっているのに無理に手術をして、薬物療法ができなくなることのほうが、命を縮めることになります」(同)

 まれですが、手術できるかどうかが、外科医の技量に左右されることもあります。前述した理由以外で手術できないと言われたら、ほかの病院で聞いてみるのも一つの方法です。

 一般的にがんの表面の組織を採取し、病理診断すると、良性、悪性が診断できます。ただし、がんの種類によってそれができない場合もあります。

 例えば卵巣がんは、腹腔内にがん細胞が広がる危険性があるため、組織を採取せず、「がんの疑いがある」状況で手術をすることがあります。肉腫も同様です。

「腫瘍は大きくなるほど悪性の可能性が高くなります。手術をする場合は、ある程度の大きさで、悪性の可能性が高いという状況が多いと思います」(同)

 がんは多くの場合、あわてて治療する必要はありません。納得できないときには、がん専門病院などでセカンドオピニオンを聞きましょう。

【取材した医師】
国立がん研究センター中央病院 副院長 医療安全管理部長 片井均医師

(文/中寺暁子)

※『手術数でわかる いい病院2021』より

暮らしとモノ班 for promotion
【フジロック独占中継も話題】Amazonプライム会員向け動画配信サービス「Prime Video」はどれくらい配信作品が充実している?最新ランキングでチェックしてみよう