隣の埼玉で躍進が目立つのが昌平と山村学園の2校だ。昌平は県大会ではコンスタントに上位に進出している実力校だったが、昨年夏の代替大会で準優勝。そして秋の県大会では見事に優勝を果たしたのだ。関東大会では初戦で敗れて選抜出場は逃したものの、この春も県大会で準決勝まで勝ち上がっている。
今年は特に打線が自慢のチームだが、その中心が入学直後から中軸に座る吉野創士だ。千葉学芸の有薗と比べると体つきは細身だが、抜群のリストの強さがあり長打力はひけをとらない。春の県大会準決勝の浦和学院戦でも打った瞬間に分かるホームランをレフトスタンドに運んでいる。失点が多いのは課題だが下級生には楽しみな素材もいるだけに、投手陣が整備できれば夏も優勝候補の一角となるだろう。
一方の山村学園は千葉学芸と同じく2008年に女子校から共学になった学校で、そこからメキメキと力をつけてきた。2019年春には県大会で3位となると、続く関東大会では水戸商(茨城)、習志野(千葉)、国士館(東京)を次々と破り準決勝に進出。夏の埼玉大会でも決勝進出を果たしている。この春は早々に敗れたものの、近年は安定した成績を残しているだけに夏の巻き返しに期待したい。
関東で最激戦区の神奈川では立花学園と星槎国際湘南の2校が面白い。立花学園は2000年代からコンスタントに上位進出を果たすようになり、2010年には山口祥吾(ロッテ育成2位)、2017年には日暮矢麻人(ソフトバンク育成5位)と育成選手ながら2人のプロ野球選手を輩出している。2019年秋、昨年夏の代替大会では連続で準々決勝に進出し、今年春の神奈川県大会では3回戦で敗れたものの横浜高校を相手に1対4と接戦を演じた。
ボールの回転数の計測など最新の機器を積極的に導入し、科学的なアプローチによる練習は新しい時代の高校野球を感じさせる。今年のチームも最速150キロ右腕の永島田輝斗と強肩捕手の岩田優真を中心に能力の高い選手が多く、準々決勝の壁を破る可能性も十分だ。