それは決して「差別」意識からではなく、私たちはビジネスの目的達成のための効率的なアプローチとして、自然と「差」をつけているのである。
これが業務を最短距離で進めんとする際に直面する現実ともいえる。ゆえに、いくら「肩書に上下をつけない姿勢が、チームメンバーのモチベーションを上げ、あなたに尽くしたくなるのだ!」と筆者が大見えを切ったところで、多くの責務を負うリーダーがおいそれと実践できないことは、重々承知している。
ただし、これは「内村だからできる」ことでもないのも事実。要は、その意識を持つか、持たないか、でしかない。そこで、この姿勢を習得するにあたり重要な“意識づくり”について考えたい。
着目しておきたいのが、内村が人の立場や肩書というものを、「目的達成のためにそれぞれの役割を担う平等な構成員」と捉えている点。
例えば、バラエティー番組であれば、彼は「MC」という一つの役割を担う構成員。そして照明スタッフは、その番組において「照明」という役割を担う構成員。そこに上下関係はなく、互いに「番組制作」という一つの目的達成に向かっている“一構成員”同士であるという考え。
それは自身に対しても同じ。
NHK『LIFE!』で総合演出を担当する西川毅氏いわく、内村は、「上下関係みたいなもの、例えば自分を持ち上げてくれとか、丁寧に扱ってほしいとか、敬ってほしいとか、一切、人に求めない」そうだ。
つまり、内村は自分自身のことも、仕事という現場における一要素と捉えている。それゆえ、そもそも自身も他者も肩書に上下がない。
あなたがリーダーという立場であっても、クライアントという立場であっても、それはその瞬間にあなたがチームにおける一構成員として担っている単なる「一つの役割」であり、相手も相手で別の役割を担っているにすぎない。正社員だろうが、契約社員、派遣社員であろうが、「役割」に違いはあれど、それ以外の区別はそこに必要ない。