「財布のヒモがかたく、営業しにくい地域だ」「あの人と食事するとお金がかさむ」──。たまたま感じたのかもしれないが、気候や風土など育った土地柄とキャラクターが結びつくことも多い。そこで、統計データをもとにお金に関する「県民性」を探ってみた。今回は各支出について。
【前編/貯蓄にまわす割合トップは「愛知」 ハデ婚健在も普段の生活は堅実?】より続く
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支出はまさに県民性が表れる。
家計調査のうち、2月発表の「家計収支編」(2人以上の世帯)の2020年平均値で、教育費にかける割合が最も高かったのは埼玉の7.12%だった。7%を唯一超えた。月あたり32万6313円の支出のうち、2万3246円が教育費。2万円を超えたのも埼玉だけで、書籍にかける支出も最も多かった。
「県庁所在地のさいたま市は『文教都市』と言われる旧浦和市を抱えています。その伝統が受け継がれているようです」(県民性に関する多くの著書があり、「県民性博士」とも呼ばれる経営コンサルタントの矢野新一さん)
食費にお金をかける人たちが多いのはどこか。
毎月の支出のうち、食費にまわす割合(エンゲル係数)では、1位が大阪(31.16%)だった。
「大阪は“食い倒れ”の街と呼ばれることに尽きるのではないでしょうか。2位の京都も大阪と同じように、食文化が豊か。このほか、エンゲル係数が上位の都道府県のなかには、ネガティブな要因として、映画館や喫茶店、レジャー施設などの娯楽が少ないので食費に回す割合が高いところもありそうです」(同)
家計で大きな買い物の代表格、家と車をみてみよう。データはいずれも、都道府県別で出されている。
総務省の「住宅・土地統計調査」によると、18年10月1日時点の持ち家住宅率は秋田がトップに輝いた。県内の世帯の77%が持ち家に住んでいる。
「秋田県民は、口数が少なく、生真面目な照れ屋が多い一方で、やや見えっ張りな面もある。周囲に合わせて、持ち家を買ってしまうケースもあるのでは」(矢野さん)とみられている。