自動車検査登録情報協会がまとめた「1世帯あたりの自動車普及台数」が最も多かったのは、福井だった。
「福井県民は負けず嫌いの頑張り屋が多い。かつて『越前詐欺』などと呼ばれ、越前商人の成功がうらやましく思われていたことが背景にあったと言われます。自動車普及台数が多いのは、県内の交通事情によるところも少なくないと思いますが、商いに長(た)け、購買力がある面も影響している」(同)
持ち家住宅率、世帯あたりの自動車普及台数がともに2位となったのは、「勤勉」「実利主義」と前述した富山。どちらも3位の山形は「地道な努力家で金銭感覚もシビアだが、見えっ張りな一面もある」(同)という。
お金の使い方をさらにエリアを絞った都市でみていくと興味深い。
総務省は、直近3年間の平均値をもとに、都道府県庁所在地や政令指定市別の年間購入額ランキングを品目ごとにまとめている。3月に発表された最新18~20年の1年あたりの平均値のランキングで各地の傾向を調べてみた。
「パン」は1位が神戸市、2位が岡山市、3位が京都市。
「生うどん・そば」は、言わずと知れた“うどん県”の県都、高松市がトップで、次点の前橋市や山形市を引き離した。
「パスタ」は、東京都区部やさいたま市など南関東勢が上位を占めた。
「中華麺」だと盛岡市がトップに立ち、「カップ麺」は新潟市が首位。袋めんを指す「即席麺」では、1位の鳥取市、2位の熊本市が3位以下を突き放していた。
お酒もはずせない。
外食を除く酒類全体の購入額、いわゆる“家飲み”が多かった上位は秋田市、札幌市、青森市だ。
このうち、「清酒(日本酒)」は秋田市、福島市、新潟市など“米どころ”の東北勢が上位を占め、「焼酎」は宮崎市、鹿児島市、北九州市など九州勢が幅を利かせ、地域の特色を裏付けた。
宅森さんは次のように解説する。
「日本酒も焼酎も、それぞれの地域の特産品で、やはり地元で生産されているお酒の種類がよく購入されています。なかでも焼酎トップの宮崎の購入額は、全国平均の2倍以上。宮崎の焼酎は、県内向けに出すのはアルコール度数20度の銘柄が多いのに、県外向けは通常の焼酎と同じ同25度以上というユニークな特徴もあります。戦後の密造酒対策で特別に低い度数の生産が認められていたことや、ロックの飲み方やなめらかな焼酎が好きという独特の理由があるそうです」