全国で接種回数はこれから増える見込みだが、新たな課題もある。沖縄県立中部病院感染症内科の高山義浩副部長は言う。
「一人暮らしや高齢者のみの世帯では、役所からの接種券の入った郵便物に気づかない人は少なくありません。電話予約やインターネット予約が困難な人たちへのサポートが必要となってきます」
そこで、沖縄県中城(なかぐすく)村では自治会長たちが手分けをして高齢者の家を訪問し、郵便物の内容を説明して接種の意思を確認している。
「今後、地域に根付いた活動をしている自治会や民生委員の方の協力が、もっと必要になってくるでしょう」(高山医師)
若い世代への接種も、困難が予想される。
「重症化リスクが高い高齢者と違い、若者の中には積極的にワクチンを打ちに行こうと思わない人もいると予想されます。米国の一部ではワクチンを接種した人に宝くじを配る取り組みをしていますが、そういったインセンティブを与える仕組みが日本でも必要になるかもしれません」(同)
現場の苦闘は、まだまだ続きそうだ。(本誌・西岡千史)
※週刊朝日 2021年6月11日号
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