みなさんはエイときいて、どんなイメージが浮かびますか。
筆者がまず思い浮かべるのはエイヒレです。ダイビングをされる方だったら、「マンタ(オニイトマキエイ)」という方も多いかもしれませんね。
エイヒレは主に、日本の近海にも多く生息している、ガンギエイの仲間やアカエイのヒレを原料として作られています。
ガンギエイが主に30メートルから80メートルの海底にいるのに対して、アカエイは主に浅い砂地で目だけを水中に出して潜んでいます。
水面直下をひらひらと泳ぐことも多く、沖の堤防やいかだなどで釣りをしていると比較的よく目撃され、しばしば釣り人の針にもかかります。アカエイに仕掛けをあっという間に持っていかれたという経験をされた方も多いのではないでしょうか。大きいものになると尾の部分を除いても1メートル近くにもなるので、通常の魚を狙っている仕掛けではひとたまりもありません。
アカエイを狙って釣るには、かなり頑丈な仕掛けが必要です。だけど、定置網などには、けっこう入るのです。くら寿司が「一船買い」をしている愛媛県や香川県の漁師さんも、網に入るアカエイには悩まされていました。
大きいものは15キロから20キロ近くにもなります。数匹入っただけでも網を揚げるが一苦労。その一方で、市場ではほとんど値段がつきません。
さらに、アカエイの尾の付け根には、長さ10センチほどの非常に鋭い毒のある棘(とげ)があります。取り扱いには非常に気をつけないと、とんでもないことになってしまいます。毒棘には釣り針のようにカエシがついていて、一度刺さると簡単には抜けません。無理に引き抜くと傷口がさらに裂けて大変なことになってしまいます。
このように厄介なアカエイですが、実はその身はエイの中で一番おいしいと言われています。
エイは時間が経つとアンモニア臭がキツくなってしまいますが、新鮮なアカエイはお刺し身にしてもおいしく、肝の刺し身は「とろとろの食感で絶品!」と聞いたことがあります。筆者はまだ食べたことはありませんが、ぜひチャレンジしてみたいもののひとつです。