新型コロナ・ウイルスの対応で日本国内の深刻な課題が山積みになっている中で、なぜ途上国・新興国向けのODAを増やす必要があるのかという疑問は少なくないでしょう。しかし、環境問題と同様に、自国のみでは保健医療課題であるパンデミックは対処できません。

 一方、自国のみで対処できない世界的課題ではありますが、的確な国家戦略を打ち出すことによって、自国のプレゼンスが世界で変わります。
カーボンニュートラルと同様にグローバルヘルスは新たな産業の成長を促す日本の国家戦略です。コロナ禍の大衝撃を全員が体験したからこそ、実現させるべき新たな社会設計になるからです。

 コロナ禍で世界が迷走している今こそ、日本はグローバルヘルスを確たる国家戦略として打ち出すべきです。人口が多い世界の途上国・新興国の保健医療課題の解決に寄与することは、これから人口減少が加速する日本の経済社会の今後の繁栄をデザインすることに加え、国際的なプレゼンス向上に繋がります。

 また、パンデミックは今回で終わりません。人類がこの世に存在する限り、パンデミックは必ず繰り返されます。新型コロナ・ウイルスをはじめ、その他の感染症に対応するワクチン、治療薬や検査キットへのアクセスの不平等を克服し、公平かつ確実な分配を実現するシステムを整えるために、グローバルヘルス分野の様々なステークホルダーの協働が重要です。これらの国際協力や官民連携を進めることは日本経済や国民を守ることに繋がります。

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