菅義偉総理と茂木敏充外務大臣を始め、日本政府のリーダーシップなくしては、「四海兄弟」におけるワクチン格差をここまで埋める大きな前進をすることはできませんでした。
しかし、日本国内のワクチン接種が他の先進国と比べると出遅れている事態の時になぜ、海外援助なのだ。自国を優先すべきであろうという疑問を抱くかもしれません。
ただ日本の課題はワクチンが無いことではなく、ワクチンを接種するプロセスだと思います。ワクチンを購入するお金が枯渇している訳でもない。多く低所得国は、そもそもワクチンを確保できないという課題があります。
また、ウイルスは変異し続ける特性があり、変異する度に感染力が強くなるリスクもあるからこそ、ワクチン接種が進まない途上国での変異種の発生は、日本人にとっても、自分ゴトです。
もう一つ重要なポイントがあります。今回の拠出は成長戦略の一環である先行投資になります。日本を含むドナー国が公平なワクチン供給を支援することで、今後5年間で約50兆円(4,660億ドル)の経済的利益をもたらす可能性があると言われています。
ワクチンサミットを迎えるおよそ1か月前の4月下旬。企業経営者で参画した「グローバルヘルスを応援するビジネスリーダー有志一同」の代表として私は官邸で要望書を総理に手交いたしました。
要望書をお渡しする際にお伝えたメッセージとは、総理の英断で宣言された「2050年カーボンニュートラル」と同様に、グローバルヘルス(国際保健)も新たな産業の成長戦略となるという内容でした。同席した企業経営者も、グローバルヘルスにおいてそれぞれの事業の取り組みを総理に説明しました。要望書の概要は以下になります。
・日本の保健医療関連ODAについて今後5年間で倍増を目指す
・グローバルヘルス分野により多くの多様なセクターの民間企業が参入する体制を構築
・同分野において政策や規制緩和、規制調和の国際的な議論のリーダーシップを発揮
・日本企業のイノベーションが低中所得国においても認知され、現地で活用される様、政府として取り組む
・官民が連携して競争優位な人材を育成できる仕組を構築