昨年の秋には、かつての句友から電話があった。
「どうです? この機会にLINEで連句をやりませんか」
五人で三十六歌仙を巻こうと言う。江戸期に芭蕉や宗匠達が弟子を集めて楽しんだもので、前の人の句のイメージを受けて五・七・五、次の人が七・七とつなげていく実に優雅な遊びである。月や花などを入れる場所も決まっており難しい。
かつて佐々木久子編集長の「酒」という雑誌で早大の恩師、暉峻康隆先生に誘われ参加した時は、更に酒や恋を詠みこまねばならず苦労したのが少しは役立った。
無事巻き終わっていざ打ち上げをと思ったら、また緊急事態宣言発令で延期になった。
下重暁子(しもじゅう・あきこ)/作家。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。民放キャスターを経て、文筆活動に入る。主な著書に『家族という病』『明日死んでもいいための44のレッスン』ほか多数
※週刊朝日 2021年6月18日号

