ミニコンサートではクリスマスソングに合わせてマラカスや鈴を鳴らしたり、ムーブメントではトランポリンの他にも、パラバルーンやボールプールを使って遊んだり、学生さん手作りのピンを倒すボウリングをしたり、きれいなピアノ演奏を聴きながらクリスマスツリーに点灯してイルミネーションを見たりと、年齢や障害の有無にかかわらず、家族全員が一緒に参加できることに大きな意味があるように思います。ゼミの学生さんがご家族にひとりずつ付いてくれることにより、きょうだいも気兼ねなく自由に遊べます。参加された方からは「きょうだいが一番楽しんでいた」という感想が多く届きました。

リハビリをうらやましそうに見ていた次女

 私がきょうだい児も一緒に楽しめるイベントを企画したいと考えたのは、次女の存在からでした。

 足が不自由な息子は赤ちゃんの頃からリハビリが必要だったため、1歳年上の次女も一緒に療育センターに連れていくことが何度もありました。リハビリは、障害のある子どもたちが主体的に身体を動かすことを促すため、子どもから見ると「あそび」です。通っていた施設には大きな機器がたくさんあり、天井から降りたロープがブランコになり、スパイダーという装置では、ベルトで身体を固定すると、自力では立つことができなくてもトランポリンのように飛び跳ねることができました。息子が大声で笑いながらリハビリをしている様子を幼児期の次女はいつもうらやましそうに見ていましたが、付き添いである彼女は装置に触れることはできません。弟のリハビリのために60分間おとなしく座って待ってくれる姿に、毎回申し訳なく思っていました。

 その後、かるがもCPキッズを立ちあげ、私自身が家族支援について学ぶうちに、「きょうだい児の寂しさ」の中には「自分も参加したい」と思う気持ちも含まれるような気がしたのです。そして、最初にきょうだい児を中心に考えて企画した「クッキング=軽食とスイーツ作り」のワークショップは大好評で、都内で開催したこのイベントのために東北や九州から来て下さった方もいて、きょうだい支援の必要性を改めて実感しました。

 病気や障害と向き合う子どもたちのケアが大切なように、保護者やきょうだいがホッとできる場所も大切です。家族全員が一緒に笑顔になれる企画を、これからも考えていきたいです。

※AERAオリジナル限定記事

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江利川ちひろ

江利川ちひろ

江利川ちひろ(えりかわ・ちひろ)/1975年生まれ。NPO法人かるがもCPキッズ(脳性まひの子どもとパパママの会)代表理事、ソーシャルワーカー。双子の姉妹と年子の弟の母。長女は重症心身障害児、長男は軽度肢体不自由児。2011年、長男を米国ハワイ州のプリスクールへ入園させたことがきっかけでインクルーシブ教育と家族支援の重要性を知り、大学でソーシャルワーク(社会福祉学)を学ぶ。

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