「インクルーシブ」「インクルージョン」という言葉を知っていますか? 障害や多様性を排除するのではなく、「共生していく」という意味です。自身も障害のある子どもを持ち、滞在先のハワイでインクルーシブ教育に出合った江利川ちひろさんが、インクルーシブ教育の大切さや日本での課題を伝えます。
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12月になりました。私が運営しているNPO法人かるがもCPキッズでは、毎年クリスマスシーズンになると、障害のあるお子さんやご家族のために、鎌倉女子大学の特別支援ゼミとコラボレーションしたワークショップを行っています。
コロナ禍により、2019年度を最後に休止していましたが、今月はじめに3年ぶりに開催することができました。まだ会場となるホールに人数制限があるため、参加は50人程でしたが、笑顔がたくさん見られる会でした。
メンタルの負担が大きい「きょうだい児」
かるがもCPキッズのイベントは、ご家族同士の交流やワークショップでの学びのほか、「きょうだい児」に楽しんでもらえるような内容を企画しています。きょうだい児とは、病気や障害のある子どもの兄弟姉妹のことです。一般的にきょうだい児は、幼少期から寂しさなどの感情を抑えなければならない場面があり、メンタルの負担が大きいと言われています。
障害のある子どもたちのイベントというと、きょうだい児は「付き添い」になりがちですが、私たちピアサポーターは、きょうだい児にも同じように楽しんでもらいたいと考えています。
今回は、きょうだい児支援の必要性について書いてみようと思います。
同じ空間で楽しめる「ムーブメント」
毎年、クリスマスイベントは華やかで明るい雰囲気になるようにと企画してきました。
今年はサックスとピアノのミニコンサートと、ゼミの学生さんによる演劇と、ムーブメントを行いました。ムーブメントは「あたま(考えること)・からだ(動くこと)・こころ(感じること)」に響くと言われる療育です。こう書くと難しく聞こえるかもしれませんが、お子さまの状態に合わせて、すべてのアトラクションに参加できるように考えられたあそびです。たとえばひとつのトランポリンを使って、寝たきりの医療的ケア児なら、ごろんとあおむけに寝たままでも周りにいる大人が揺らすことで弾む感覚を楽しめたり、きょうだい児は激しく飛んだりと、感じ方はそれぞれでもみんなが同じ空間で楽しむことができます。揺れるたびにかわいい笑顔を見せてくれたお子さんや、豪快に跳ねて宙返りを披露してくれたきょうだいもいました。