鷹野さんは富士山・朝霧高原と南アルプスでキャンプ場を運営する一方、キャンプのあり方について発信し続けてきた。

「ブームになって新しい人が入ってくると、ゴミの後片づけや騒音などの問題は必然的に出てくるんです。それがいま、顕著に表れている状況。でも、昔もよくあった話なんですよ。カラオケを持ち込んで歌ったりとか」

 楽器やスピーカーで音楽を流したり、宴会をして大声で騒ぐなどの迷惑行為への対応を聞くと、

「そんな大きな音を出す人がいたら、ふつうは管理人が注意しに行きますよ(笑)。それが問題となってしまうのは、管理体制があまい、ということではあるんですね」

 鷹野さんのキャンプ場では「入口をぎゅっと狭めている」と言い、ホームページには「宴会、音楽、楽器、発電機はNG」と、さまざまなルールが書かれている。午後9時から翌朝7時までは「サイレントタイム」と定め、車の移動も禁じている。

「そういう行為は『ダメですよ』と、ルールブックに載せていなければ、管理側がお客さんに注意しても、『ルールに書いてないじゃないか』と、言われてそれまでですから。うちのキャンプ場は、お客様にほんとうに静かにのんびりと楽しんでもらいたい、というコンセプトがあります。それをルールとしてきちんと出すことで、それを守らない方に対して堂々と、『嫌なら帰っていただけますか』と言える」

■客が注意すると大きなトラブルに

 鷹野さんは迷惑行為に遭遇してしまったら、直接注意するのではなく、管理人に伝えることが大切という。

「要は、お客様同士で話し合ったり、注意した場合、大きなトラブルになってしまう可能性があります。昔、お客様同士のけんかになって、刃物を出されたこともありましたから」

 昔からキャンプ場業界に携わってきた人間であれば、夜間留守にするにしても客同士のトラブルに発展する前にきちんと対応するのは常識という。

「ですが、最近、さまざまなスタイルのキャンプ場ができたことで、全国的にもさまざまな法人が業界に参入したり、個人がつくったキャンプ場も増えたりしています。管理をする側が素人(しろうと)、というところも多くなっているのは確かです」(鷹野さん)

■トラブルが起きやすいキャンプ場は?

 鷹野さんは運営スタイルや管理体制によってキャンプ場が2極化している現状を指摘する。

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成熟しないキャンプ文化