しかし、小学校では2画目はとめで習うため、もしもはねてしまえば×になる。当時、学校での指導との関係性を問われた文化庁は「これまでの学校における漢字指導の考え方が変更されるわけではありません」とし、「教科書体を標準として指導を行うことを求めていく」と回答した。
つまり子どもについては別問題で、以前と変わらず学習指導要領に示される「学年別漢字配当表」を標準として指導するというのだ。基本の型を知らずに我流を通すのはただの「形無し」。確かに、基本を押さえることの大切さも分かる。
■褒めてやる気をアップ
長年、塾などで幼児から低学年の子どもの教育に携わる子育てアドバイザーの中山淳子さんは「学校で×をもらった時には家庭でのフォローが大切です」と話す。
「学年が上がるにつれて学習内容も増えるので、教員がここまで丁寧に教えられるのは低学年のうちくらいです。その後に迎える中学受験や大学受験でも、厳しく採点されるので、低学年のうちにしっかりと基本を身につけておくのは大事なことだと思います」
しかし、点数があまりに悪くて子どもが勉強嫌いになるのは避けたいところ。勉強嫌いにさせるかどうかの境目は、親の対応にあるという。
子どもがテストを持ち帰ると、親はとかく間違えたところばかりに目が行きがちだが、まずは、できたところを見つけて褒めてあげるのがやる気を育てる基本という。
「前のテストよりも丁寧に字が書けている点でもいいですし、字が大きすぎて回答枠からはみ出して書かれていた答えが、今度はちゃんと枠の中に収まるように書けていたなど、些細なことでいいんです。とにかくまずは頑張りを認めて褒めてあげてほしいです」(中山さん)
例えばこの時、良かったポイントに家で花丸をつけてあげても良いという。
「お母さんやお父さんから○をもらうだけでも子どもはすごく嬉しいものです」(同)
■子どもの純粋さを活用
特に、前出の家庭のように選んだものは正解なのに、別の理由で×をもらったという場合は、答えは合っていたことを認めてあげた上で「あとは○さえ上手に書けたら完璧だね」と前向きな伝え方をするよう勧める。