小学校や塾でのテストの厳しい採点に驚く保護者は少なくない。あまりに厳しいと、子どものやる気を削ぐのでは――。AERA 2021年7月5日は、保護者はどうしたらよいのか専門家に聞いた。
【写真】文化庁が2016年に発表した「常用漢字表の字体・字形に関する指針」は厳しい?
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「小学校のテスト、採点が厳しすぎじゃない?」
保護者の間で毎年のように繰り広げられるこんな会話。特に、入学したての小学校1年生の保護者にとっては、点数がつけられたテストを受け取るのは初めてという家庭も。担任の厳しい採点に驚く親も多い。
「漢字のテストはとめ、はね、はらいができていないと全て×。そこまで厳しい必要ってあります?」
ネット上にはこのとめ、はね、はらいの細かなミスで「0点をもらった」という家庭もあった。こうした厳しい採点は漢字のテストに限られたことではない。保護者が理解に苦しむのが他教科での採点だ。低学年の子をもつある保護者は言う。
「『正しい絵に〇をつけましょう』みたいな問題がありますよね。あれの○がひしゃげてゼロに見えるというので×にされていました。選んだ絵は合っているのにです。これでは子どものやる気が無くなりそうで心配です」
容赦なく×になるテスト。子どもの気持ちを萎(な)えさせない方法はあるのだろうか。
実は漢字の表記については数年前に物議を醸した一件があった。手書き文字と印刷文字との違いが理解されにくくなったとして、文化庁が2016年に「常用漢字表の字体・字形に関する指針について」という文書を出したのだ。
■大人は曖昧表記OK
例えば、令和の「令」の字などを手書きで書く際、人によって若干表記のゆれがあるが、銀行などに提出する書類を書く際には、明朝体など印刷される字形通りに書くよう指示されるケースがあった。
文化庁では手書き文字と印刷文字の表し方には習慣の違いがあることを考慮し、細部に違いがあっても字体の枠組みから外れていなければ、その字として認めるという指針だった。
具体的には、「木」という漢字の場合、2画目の縦棒の最後がたとえ少しはねていようと、「木」という字の形を崩してはいないため、「木」として認めるというのだ。