3分もないような隙間時間に、1ページか2ページだけ読んでおき、それからは後の自分に任せておくのです。
すると、次にその本を手にするまでのハードルがびっくりするほど低くなります。
■漫画アプリの「1巻無料」は、恐ろしいほどの引力
これと少し似た原理を利用しているなぁと感じるのが、スマホの漫画アプリによくある、最初の1話だけ、あるいは1巻だけ無料というキャンペーンです。
「無料」という言葉に引かれてほんの少しでもストーリーを読んでしまうと、続きが気になってしまい、次の(今度は有料の)話を買いたくなるわけです。
私も、「この無料キャンペーンはサービスのようでいて、売るための戦略なんだ!」と頭の中で自分に言い聞かせているにもかかわらず、 最終的には最終巻まで買って読んでしまうことが多いです。
こんなとき、「ほんの少しだけ進める」という行為には、恐ろしいほどの引力があるのだと実感します。
「何も無いところから新しいものを生み出すのは困難である」という意味を表すために、よく、「1を100にするより、0を1にするほうが難しい」なんて言葉が使われます。
実はこの言葉、何かを新しく始めるときの状況にも当てはまるように思うのです。
重い腰をあげて、「さぁ、やるぞ!」と気持ちを高めるよう自分で調節するのは難しいことです。でも、最初の一歩を進めてしまえばラクになると知っていれば、気負わずに、ほんの少し手をつけて、さっさと0を1にしてしまえばいいわけです。
■「少しだけ進める」を日常生活に生かす
この素晴らしい「少しだけ進めること」の力を、日常で活用しない手はありません。
コロナにより在宅で過ごす人が増え、運動不足を解消するために、室内で体を動かすための器具が売れています。
ご多分に漏れず、私もステッパーを購入しました。でも、筋トレやダイエットといえば、挫折の代名詞みたいなものですよね。継続するのが難しいので、「器具だけ買って満足してしまった」、なんて話をしょっちゅう聞きます。
このときも大事なのは、まず、時間や回数を気にせず、ステッパーに乗ることです。
1分でも1ステップでも乗ったらOKです。それで、「今日は体を動かした」としてしまうのです。
杉山奈津子
〈受験シーズン〉東大卒ママ受験シーズンに伝えたい 合格する人・不合格の人の決定的な差は「復習」にあり