他に都議選の結果で重くみるべきは、国民民主党が1議席も取れなかったことだと思います。国民のバックには労働組合の中央組織「連合」の地域組織「連合東京」がついていたはずです。それなのに1議席も取れなかった。この結果は、今後の野党の戦い方にも大きな影響を与えるはずです。
そもそも、連合は共産党との選挙協力には否定的です。しかし今回、共産と候補者調整をした立憲は議席を増やしており、一定の成果を出した。国政選挙では、連合は立憲の最大の支持団体です。そのため、立憲の枝野幸男代表は共産との関係については常に連合を意識した発言をしています。都議選前も今後の政権構想について、「共産党との関係については理念と違っている部分があるので、連立政権は考えていない」と語っていました。
しかし、枝野氏の共産と距離を取ろうとする発言は、私はパフォーマンスではないかと思っています。枝野氏はときに共産に対して失礼とも取れる発言をしますが、共産からは反発の声は上がりません。実は水面下で、立憲と共産の相当強固な野党連合の合意ができているのではないかと推測しています。
都議選では、国民よりも共産と組んで結果を出したわけですから、枝野氏も今後は「連合」に気を使うばかりでなく、共産との思い切った選挙協力体制に踏み切る可能性もあると思います。
もうひとつ、都議選では重要なポイントがありました。それはジェンダーです。
共産党は女性候補者を前面に出して戦いました。31人の立候補者のなかで女性は18人、実に6割近く。早々とトップ当選を決めた女性候補も4人いました。終わってみれば共産の当選者19人のうち女性が14人と、74%を占めました。
その一方で、自民党は候補者60人のうち女性は9人だけ。当選は4人にとどまりました。自民党の陣営はいまだに「ザ・石原軍団」のように、男性候補者を真ん中にスーツ姿のおじさんたちが取り囲むという選挙戦をたくさん見かけました。女性からしてみれば、ちょっと威圧感があるわけです。