新型コロナウイルス感染症の影響で在宅ワークが推奨されたことにより、社会人の働き方や時間の使い方は大きく変わって来ている。仕事をしながら大学院へ通う社会人は、どんな生活を送っているのか。アエラムック『大学院・通信制大学2022』では、実際に大学院に通っている社会人に話を聞いた。
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家族の協力で、仕事と学業を両立させているのが嶋田勇一さん(42歳)だ。消防士として働いていた嶋田さんが大学院へ進学するきっかけになったのは、4年前たまたま足を運んだシンポジウムだった。
「国士舘大学大学院が主催した、心肺蘇生に関するセミナーでした。世界各国から研究者が集まってプレゼンし、最先端の蘇生学を学ぶことができ衝撃を受けました」(嶋田さん)
小学生と就学前の子どもが4人おり、看護師として働く妻に、大学院に通いたいとは言い出せず、職場の都合もつかなかったため、進学を断念していた。
しかし学びたい思いは消えず、4年後に反対を覚悟で妻に切り出してみると「やってみたら」との後押しをもらい、進学を決意した。
嶋田さんは高校卒業後、24年間消防士として勤務し、現在は病院で救急救命士として勤務しながら国士舘大学大学院救急システム研究科修士課程1年コースに入学し、仕事の休みを使って大学院に通っている。
大学院の授業は集中講義で行われ、仕事を休めない時は授業のオンデマンド配信を見て学習をしている。授業は講座や実技演習を中心に、ご献体での解剖学実習、病院や救急車同乗実習など幅広く学ぶことができる。
「大学院での学びは、著名な教科書や世界的な論文に名をつらねる教授陣から、授業を受けているという喜びがある。先生方からは、こういう救急救命士になってほしいという思いが伝わってきます」(同)
嶋田さんの朝は早い。3時に起床し2時間ほど自主学習をこなす。茨城の自宅を6時に出て、キャンパスまで2時間半かけ通っている。