気になることを聞いてみた。
「僕のウイルスは変異株なんでしょうか?」
それに対する医師の答えは意外なものだった。
「それは、調べていないので分かりません。全員の検体を調べるのではなく、ピックアップした分だけになるので、(対象にならなかった筆者については)分からない、ということになります」
不明という回答は予想外で、とても驚いた。ということは、報じられている変異株の感染者数は、あくまでもピックアップして調べたうちの数字にすぎないということだ。これでは正確な変異株の感染割合など算出できないのではないか……。
翌日、保健所の担当者から電話があり、筆者は最短で10日間の自宅療養と決まった。症状が軽いこと、また、独り暮らしのため、濃厚接触者を生む可能性がないことなどが自宅療養となった理由だ。ただ、やはり体調急変には気を付けるよう言われ、緊急時の連絡先を教えてくれた。
その後、指先につけて血液中の酸素の値を見る「パルスオキシメーター」が届いた。
正直、体調の急変に注意というが、どんな急変の仕方なのかは想像がつかない。本当にそうなったとき、どこかに連絡をする余裕があるのか、それすらないのか。この機器は、そんな重症化の予兆をいち早く察知してくれるであろう心強い味方である。朝夕に測定し、数値が「95%以下」になったら相談するように書いてある。
さらに2日後の30日、東京都から自宅療養者のための食料が届いた。大きな段ボール3箱分の量である。
おかゆや介護食のようなものだけだと想像していたが、中身は意外だった。ご飯にスパゲッティ、大盛りのカップ焼きそばが7個もある。ポテトチップ類にフルーツゼリーなどのデザート。懐かしの「ギンビス たべっ子どうぶつ」を見つけた時は、まだこのお菓子があったのかと感動してしまった。充実ぶりはうれしかったが、同時に「絶対に外に買い物に行かせない」という、行政側の意志も強く感じた。