もう四半世紀前のことなので正確には覚えていないのですが、私が当時小学生として使っていた国語の教科書に、こんな会話例が載っていました。
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子「のどかわいた」
親「オレンジジュース飲む?」
子「氷も入れて」
その教科書によると、日本語には察する文化があるため、本来は必要となるはずの文章を飛ばしても会話が成り立つとのことでした。本来必要な文を補うと、こんな感じです。
子「のどかわいた」
親「(そう、のどがかわいたの。冷蔵庫に)オレンジジュース(があるけど)飲む?」
子「(飲みたい。)氷も入れて」
日本語ならOKかもしれませんが、英語で子どもがこれをすると「お行儀が悪い」と言われます。もちろん一概にはいえませんが、少なくとも私の周りではそうでした。英語だと、会話はたとえばこんな感じになります。
子「のどかわいた(I’m thirsty.)」
親「あら、そう(Oh, are you?)」
子「……」
親「……(無言のプレッシャー)」
子「……のどかわいたんだけど(I said I’m thirsty.)」
親「そういう言い方じゃないでしょ(That’s not how you ask.)」
子「オレンジジュースください(Can I have orange juice, please?)」
親「どうぞ(Sure.)」
英語では、自分の要求はきちんと言葉にして表すよう子どもに教え込みます。他者、しかも目上の大人に「のどかわいた→要は飲み物が欲しい」と察させることはお行儀が悪いと考えられているのです。ですから大人は「そういう言い方じゃないでしょ」とか「のどかわいた、だけじゃ何が欲しいかわかりません」といって子どもをたしなめます。ちなみに、ちょっと気が利いた返しとしてはこんなものもあります。
子「私、のどかわいた(I’m thirsty.)」
親「こんにちは、“のどかわいた”さん!(Hello, Miss thirsty! )」