■ソフトバンク:マルティネス

●成績
11試合 7勝2敗0ホールド0セーブ 防御率2.03 72奪三振

 パ・リーグ6球団の中で最も人選に迷ったのがソフトバンクだ。野手では柳田悠岐になりそうだが、期待値の高さとこれまでの実績を考えると、どうしても物足りなさを感じて投手のマルティネスを選んだ。コロナ禍で来日が遅れたこともあって、一軍に合流したのは5月からだが、1カ月間で4勝を挙げていきなり月間MVPを獲得するなどチームトップの勝利数をマークしている。日本ハム時代からコントロールには定評があったが、奪三振率(9.13)が大幅にアップしていることもプラス要因だ。東京オリンピックではアメリカ代表にも選ばれているが、侍ジャパンにとっては手ごわい相手となるだろう。

■西武:平良海馬

●成績
41試合 1勝1敗21ホールド11セーブ 防御率0.23 52奪三振

 野手では捕手としても、打線の中軸としても十分な働きを見せている森友哉が目立つが、1人を選ぶとなればやはり平良になるだろう。開幕時点はセットアッパー、抑えの増田達至が不調で離脱した後はクローザーとしてフル回転。7月1日には39試合連続無失点というプロ野球記録も樹立した。投げ込むボールもマウンド上での佇まいもとても今年で高校卒4年目には見えず、完全にチームのブルペンを支える存在となっている。気がかりなのが登板過多。徐々にコントロールが乱れて走者を背負うシーンも増えている。東京五輪でもリリーフ陣の一角として期待されているが、将来を考えると少し休ませながら起用することも検討すべきだろう。

■日本ハム:伊藤大海

●成績
13試合 7勝4敗0ホールド0セーブ 防御率2.42 87奪三振

 ダントツの最下位に沈むチームの中で、数少ない明るい話題となっているルーキーの伊藤を迷わずに選出した。開幕当初は味方の援護のない試合が続いて黒星が先行したものの、セ・パ交流戦では勝利数(3)と防御率(0.90)の投手二冠に輝き、敢闘賞にあたる「日本生命賞」を受賞。ストレート、変化球、コントロール全てが高レベルで、規定投球回に到達している投手の中では12球団ナンバーワンの奪三振率(9.59)を記録しているのも見事という他ない。宮城大弥(オリックス)、早川隆久(楽天)との新人王争いはかなりハイレベルなものとなっているが、この調子を維持することができれば伊藤が受賞する可能性も十分にあるだろう。

(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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