大内さんは言う。

「今、1年間通して放送される連続ドラマって、NHK大河ドラマと仮面ライダー、スーパー戦隊シリーズだけなんです。とくに主役に若手俳優を起用することの多い二つのヒーローシリーズは、若手俳優が1年間戦いを重ねてストーリー上だけでなく、俳優としても成長するという側面も持つという魅力があります」

 前出の白倉プロデューサーはこう語る。

「卒業後の現場で、スタッフや共演者に『仮面ライダーやスーパー戦隊って、1年でこんなに成長させてくれる作品なのか』と思ってもらうことで、この門をたたいてみたいと思ってもらえるシリーズに育ててもらえました。歴代の卒業生がプレゼントを贈り続けてくれる。継続するというのはこういうことなのかなという気がします」

 仮面ライダー50周年、スーパー戦隊45作品を記念した映画「セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記」が7月22日に公開される。仮面ライダー1号・藤岡弘、をはじめ、歴代ヒーローが時空を超えて集結、銀幕狭しと大活躍を繰り広げるアツい作品だ。

 この作品で大きな役割を持つ「謎の少年」を演じるのが、両シリーズの大ファンでもある鈴木福くん(オススメ作品は「仮面ライダー電王」「侍戦隊シンケンジャー」)だ。

「『仮面ライダー電王』に出会ってから、いつか出てみたいという思いがずっとありました。ストーリー展開が速く、その中で変化していく心情を表現することが難しかったです。大好きだったシンケングリーンとも共演できましたし、デカマスターのカッコよさにも惹かれました。自分が作品の中にいることが不思議でしょうがなかったです」

 メインの仮面ライダーや戦隊のレッドよりもサブ的なポジションのヒーローが好きだという。

「役どころがというよりも、色やデザインが好みなんです」

 いつかはヒーローとして「変身」してみたいか聞くと、「もちろんです! それが一番の夢です」と答えた。そんな福くんにとってのヒーローとは? この問いに、福くんはこう返した。

「僕にとってのヒーロー、それは、この作品を見ていただけたら。そこに答えがあると思います」

 それぞれの人が持つ正義、勇気、平和を願う心。そこにヒーローは、いる。(本誌・太田サトル)

週刊朝日  2021年7月30日号