約半世紀にわたり続くシリーズは、その時代ごとに、多くの人の生き方に影響を与えてきた。

 特撮ヒーロー作品に愛と造詣の深い20代の女性声優・せんすさん(オススメ作品は「仮面ライダーZO」「バトルフィーバーJ」)は、造形作家だった父の仕事の影響で、ヒーロー作品を産湯がわりに浴びるように育った。

「ずっとビデオが流れていて、資料も当たり前にたくさんあったので、ヒーローがいることが自然だと感じていました」

 そんな環境ゆえ、20代でありながら原体験は「仮面ライダー」と「ゴレンジャー」、それぞれのシリーズ1作目だという。内面の成長にも大きな影響を受けた。

「仮面ライダーやスーパー戦隊が困難を乗り越え、より強くなるエピソード。それを見たことで、どんな障壁があっても私の心の中にヒーローがいる限り、乗り越えることができるはずだということを学んだと思います」

『特撮の地球科学』という共著書もあるミュージシャンの大内ライダーさん(オススメ作品は「仮面ライダーV3」「恐竜戦隊ジュウレンジャー」)は、“技と力”、仮面ライダー1号と2号の能力を引き継いだ仮面ライダーV3が理想のヒーロー像だという。

「宮内洋さん演じる風見志郎、あんなにヒーロー然としたヒーローはいない。宮内さんはよく、常にヒーローであることを忘れてはいけないとおっしゃるのですが、人前に立つミュージシャンも、どこかにかっこいいヒーローであることを心掛けるという点では同じだと思います。心の中に常にヒーローを意識して、ステージを降りた後や私生活でも、道を踏み外したことをしてはいけない、ということを学びました」

 せんすさんも同様だ。

「お年を召した方に座席をゆずるとか、倒れている自転車を起こすとか、そういう何げない優しさを、ヒーローに育ててもらった身としては持っていないとと意識します」

 両シリーズは、その後の映画やテレビドラマの世界で大きく羽ばたき活躍する俳優が数多く輩出するシリーズとしてもよく知られる。

 21世紀に入ってからだと、オダギリジョー(「仮面ライダークウガ」)、佐藤健(「仮面ライダー電王」)、福士蒼汰(「仮面ライダーフォーゼ」)、竹内涼真(「仮面ライダードライブ」)、松坂桃李(「侍戦隊シンケンジャー」)、千葉雄大(「天装戦隊ゴセイジャー」)、山田裕貴(「海賊戦隊ゴーカイジャー」)、志尊淳(「烈車戦隊トッキュウジャー」)、横浜流星(同)……と名だたる俳優がずらりと並ぶ。

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