■入社3カ月で20社の受注 いきなりMVPを受賞する

 就職活動では世の中に「ダイナミックな影響を起こせそうなイメージ」から総合商社を志望。しかし、7大商社の試験はすべて1次筆記試験で不合格に。この結果を「学歴カット」だと受け止めた森は、戦術の変更を決めた。

「今では『隣の席の京大生の答案をカンニングしても落ちちゃってさ』なんて笑い話にしていますけど、当時はショックだったんですよね。学歴に関係なく、能力や意欲を評価してくれて、若いうちからデカい仕事を任せてくれる会社に行ってやろうと。それがリクルートだったんです」

 制作系のリクルートメディアコミュニケーションズ(当時)に入社したのは、センスと実力がものをいうクリエイティブ職で成果を出そうと考えたから。だが、この年はちょうどリーマン・ショックの影響で急速に景気が冷え込んだ時期。森は入社早々、売り上げのテコ入れ要員として住宅情報広告誌「SUUMO」の営業部門にレンタル移籍されるという想定外の展開に。しかし、そこで森は頭角を現すことになる。

「送り込まれたのは、千葉県の西船橋店でした。当時、この地域の不動産会社は『リクルートは嫌いだから、広告は出さない』というところが多くて門前払いばかり。最初に先輩と飛び込み営業で入った会社では、灰皿を投げられて(笑)。どうしたら攻略できるかと考えた末、事前にホームページで調べて、僕を好きになってくれそうな雰囲気の社長がいる会社だけを狙って営業に行きました。すると3カ月で20社くらい受注いただけて、いきなりMVPを受賞してしまったんです」

 制作部門からの助っ人なのに成績優秀な新人がいるらしい。そんな噂は一気に広まり、東京本社に異動。そこでも2週間で四半期の目標を達成した森は、制作部門に呼び戻された。配属されたのは、社内で最も高いレベルの仕事を要求されることで知られるチームだった。森以外のメンバーは全員離脱してしまうほどの厳しい環境だったが、森は踏ん張った。優秀なリーダーの「えげつない仕事ぶり」にしびれるほど憧れたからだ。

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