21日に行われた1次リーグの豪州戦で宇津木さんは“神解説”と話題に。投手の球速表示がテレビ画面に表示されないなか、先発していた上野由岐子投手の球速を
「113キロ」
ズバリ言い当てたのだ。これにはSNSも騒然。北京五輪の解説の時と変わらず、心の声があふれ出したようなささやきも健在で、「よし!」の連発は当然のことながら、「ナイスボール!」「いけ!」「2つ!」(※チャンスやピンチで出る野球用語で「2塁」を指す)などなど小声で言いまくる。
女子ソフトボール界の“二刀流”藤田倭選手がホームランを放った際には、
「NHKの実況の方より先に“入った、ホームラン”と歓喜の声を上げていました(笑)。宇津木さんは解説で藤田選手が五輪直前に打撃が不調だったことを明かし、勝負強い長距離打者の藤田選手の1打が何より嬉しかったのだと思います。そこから藤田選手は3試合連続ホームランを放っています」(スポーツ紙記者)
唯一無二な宇津木さんの解説だが、職業が“解説者”の人はどう見るか。元プロ野球選手で現在野球解説者の江本孟紀さんに聞いた。解説者にも最近の“傾向”があるという。
「そもそも解説者には、自分の位置というのがあると思っている。私はどちらかというとアウトロー系でして(笑)。まともなことを言っていると“最近おとなしい”“毒舌はどこへ行ったんですか?”と言われてしまう。それぞれに求められるものがあるんです。また、求められてないけど、自分のスタンスを持っている人もいらっしゃる。そのスタンスが民放的だったり、それぞれある。それに加えて、地域性もあって、“阪神系”なら阪神の悪口を言わない、“広島系”は広島の悪口は言わない」
この住み分けの傾向が強くなってきているとし、江本さんは続けて、
「東京五輪などの国際大会は別として、そうした棲み分けができて、私のようなフリーな存在が少なくなっている。みんなどこかにべったりな傾向があります。だから、打たれても“いや、次があります”とか“球が走っていましたね”なんて解説をする。“今の球じゃダメだね”なんて言いません(笑)。そういう配置がはっきりされてきている。宇津木さんの解説は聞いたことがありますが結構、厳しいという印象があります。我々は解説者とはどういうものかというポリシーは持っていて仕事をするので、宇津木さんのような感嘆詞というか“よし”とかは言いませんよ(笑)。専門職の立場として言えば、なぜこの展開になったのかとか、いいプレーとかダメなプレーとかを説明しないといけない。“打ったー!”とか“やったー!”とかじゃぁね!?(笑)。解説者が本職でない人ならばいいと思うんですね。地域性のある解説者にしてもあまり感嘆詞は言わないようにしていますよ。でも、端々に“ここでヒットが出たらいいですね”なんてつぶやいてしまうこともありますが(笑)」
北京五輪から13年ぶりの金メダルへ――宇津木さん解説への待望論の声が届いたか、決勝も「よし!」連呼で盛り上がった!
(取材・文/AERAdot.編集部)