最後は、運が味方しなかったということか。ただ、MABOさんいわく、五十嵐にも改善の余地はあったという。期待を込めて、辛口のジャッジだ。

「(五十嵐は)もっと動けばよかった。波を選ぶのは重要ですが、待っている時間が長かったように思います。闘争心をむき出しにして、最後までがむしゃらに波に向かってほしかった。動きまわって、チャンスを呼んで欲しかったです。相手のブラジル選手はきれいな波の乗り方ではありませんでしたが、積極的に動いて波を探していた。勝ちたいんだという思いは伝わってきました」

 そのうえで、MABOさんは五十嵐にエールを送る。

「もっともっと勝ち続けて、サーフィンのイメージを上げてほしい。サーフィンは僕の若いころには不良なイメージがありましたし。オリンピック競技になってイメージを変えるチャンスです。もっともっとサーフィンがメジャーなスポーツになってほしいです」

 サーファー向けに気象情報を提供する会社「サーフレジェンド」の気象予報士・唐澤敏哉氏にも、27日のサーフィン会場のコンディションをきいた。

「強風注意報と波浪注意報が出ている中で競技を行うことについては批判の声もありそうですが、サーフィンの場合は波が必要なので、実施自体はさほど問題ないと思います。27日の波はかなりハードな状況で、コンディションは決して良くなかったです。波の大きさだけでいえばプロなら問題ありませんが、27日は台風が近づいている分、入ってくる波の数が多かった。波の形もきれいではなかったです」
 
 とはいえ、一点気になることがあるという。

「27日の状況でコンテストができたのは、きちんとレスキューができる態勢が整っていて、かつ世界トップレベルの選手だからです。彼らであるから事故もなく終わることができたのです。一般のサーファーは会場に入れる状況ではありません。映像を見て、台風でもサーフィンができるじゃないかという誤解がなされないか心配です」

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前倒しは吉か凶か…実際は?