28日に過去最多の感染者数をたたき出したのは、東京都だけではない。神奈川県では1051人、埼玉県で870人、千葉県で577人と過去最多を更新。首都圏だけでなく、京都府や石川県でも過去最多となり、感染拡大が勢いを増している。
感染症専門医で埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科の岡秀昭医師は、感染力の強いデルタ株の猛威が差し迫っていると警鐘を鳴らす。
「当病院では、先週までに入院した12人のうち10人がデルタ株でした。現在、21人が入院しており、先週末から調べればデルタ株しか出ません。置き換わったと判断し、調べる手間を省くことにしたほどです。アルファ株は置き換わるのに1カ月かかりましたが、デルタ株は2週間ほどでした」
さらに、4連休明けに患者の入院が増えたことで「もう重症者の受け入れは困難」だと、焦りと募らせる。
「重症者の病床がここ数日で埋まってしまいました。『重症』の前段階である『中等症2』の患者が40、50代に増えています。『中等症2』は酸素吸入が必要で、数日のうちに『重症』になってしまうような予断を許さない状態です。政治家は『重症者は増えていない』から大丈夫だろうと解釈をされているようですが、感染者の母数は増えているのだから、これから重症者も増えていくことが容易に想像できます」(岡医師)
高齢者へのワクチン接種が進んだことからか、同病院では、重症化リスクの大きい70代以上の入院は減っていた。入院患者の8割を40代、50代が占めているという。
「40、50代のワクチン接種はまだ中途半端。それに、この年代にも高血圧や糖尿病などの基礎疾患を持つ人は少なくありません。第3波のときには、80代、90代の方が重症化してトリアージの話が出ましたが、40、50代の患者へ延命治療の意思確認をするのは愚問ですよ。これからは、重症化しても責任を持って受け入れることができないと判断されるケースが増えるでしょうし、入院すらできずに在宅待機のまま亡くなるケースが40代、50代に出てくる可能性もあると思います」