――五輪は特別なものですよね?

「特別なものですよね。僕の場合は1回目の五輪と2回目では全く異なるものでした。1回目は若くて、史上初の年齢で18歳でした。五輪の怖さも現状も見えないので、思い切ってやればいい、先輩についていけばいいという気持ち。2回目になると色々なものが見えてきて、でも、そこに余裕も出てきて、そうすると色々なことを考えてしまったりプレッシャーがあったり。五輪って、メダルを取る、取らないで天国と地獄ぐらいに差があるんです。3位と4位の差ってものすごい大きいんですよ。全く異なる。今回の東京五輪はもっと違っていて、日本選手で金メダルを取っている人が多いから。ここまで金メダルを取る大会はないので、金を取るのと銀・銅では扱いが違う。1回目の出場の時には先輩たちがいてくれたのは心強かった。その点からも、いまの体操男子には内村選手がいてくれたのは大きいと思う。五輪には魔物がいると言われますが、魔物がその時に現れるというよりも、ずっと前からいて、それが蓄積されて本番当日に魔物になるんですよね。それはその時に生まれるものではない」

――今後、五輪の選手の競技を見るのにドキドキしてきました!(笑)

「そう、本当にドキドキしてきますよね。ドキドキなんですが、ひとついいことは、日本で開催されている海外でよりやりやすそうだなとは思います。気候もそうだし、食べ物もそうだし、通い慣れた土地だし。伸び伸びやっている感じがして日本は有利だなと思います。そこは大きいと思います。体操団体女子は緊張してしまっていたようですが、男子個人総合はぜひ伸び伸びやってほしいです」

 内村選手の功績のあとを追い、橋本選手は、次のパリ、ロス五輪の3連覇を目指すという。

(取材・文/AERAdot.編集部)