そのトーク力を生かして、バラエティ番組などでも活躍するヴァイオリニスト・高嶋ちさ子さん。作家・林真理子さんとの対談では、仕事のことから家族のことまで、あけすけに語ってくれました。
【前編/昔の中国なら処刑? 高嶋ちさ子の「母もかなり手こずった」過去】より続く
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林:お仕事のことをお聞きしたいんですが、コロナ禍でコンサート大変だったでしょう。
高嶋:さすがに去年の2月から8月までは何もできなかったですけど、9月からは60本近くやって、その遅れを取り戻しました。
林:テレビでちさ子さんのコンサートを見ていたら、「私はクラシックの世界を1ミリたりとも侵していません」っておっしゃってて。つまり、自分がやってることはクラシックとは別の世界なんですよということを言っていて、潔いなと思いましたよ。
高嶋:弱点は言われる前に自分から先に言う、というのが私のモットーでして(笑)。けど、クラシックのお客さんを私が横取りしているわけじゃないというのは本当です。私のコンサートは、初心者の方とか、テレビを見て来てくださる方がほとんどですから。
林:そういう人たちが、今度はクラシックの難曲を聴いてみたいと思ったら……。
高嶋:そしたら、「そういう演奏会に行ってください」って。私、そういうのは弾く気ないんです。
林:ちさ子さんのコンサート、楽しそうですよね。
高嶋:ぜひ今度いらしてくださいね。私のコンサート、とくに地方公演では、「さっきまで田んぼを耕してました」という雰囲気の、長靴はいたままの方とかけっこういらっしゃるんですよ。
林:そういうの、すごくいいですね。皆さんが知ってる曲もちょっとまぜてるんですね。
高嶋:皆さんが知ってる曲しか弾きません。知らない曲を弾くとみんなポカンとしちゃうから、有名な曲を5分以内で弾いて、飽きないようなつくりにしてるんです。
林:たとえばどんな曲ですか。
高嶋:弾きたい曲がいっぱいあるので、困ったときは「音楽史メドレー」にします。バッハの「G線上のアリア」から始まって、モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、ベートーヴェン、ロマン派、チャイコフスキー、メンデルスゾーン、そしてラヴェルの「ボレロ」、最後にガーシュウィンで締める、という音楽史をたどるメドレーを5分で。