林:これも三枝さんからの受け売りですが、「音大に入るなんて、失業者への道をたどるようなものだ」と言ってましたよ。
高嶋:それについても3、4時間しゃべれますけど、そもそも音大に入れることを目的に子どもを育てちゃいけないと思うんです。どういう音楽家にしたいのかによって、音大に行くのか、行かないのかのチョイスがある。うちの子はチェロをやってますけど、コンサートチェリストになる気がないんだったら、音大に行かなくてもいいと思います。たとえば海外では、大学受験に楽器などの特技がけっこう効くので、「そういうときに武器にしなさい」と言ってあります。
林:ほぉー、なるほど。ちさ子さんは、お子さんを音大に入れると決めているわけじゃないんですね。
高嶋:はい。需要が少ないので、音大に行っても食べられないのはあたりまえです。音大卒のコンサートよりも、真理子さんがコンサートやったほうが絶対お客さんが集まりますよ。
林:私、何をするんですか。タンバリン?(笑)
高嶋:歌、歌われてましたよね。
林:それは遠い昔で、もう声も出なくなりました。
高嶋:もう一回やってください。一緒にやりますか?
林:いいですねえ。今度ゲストで……ウソウソ(笑)。ヴァイオリンとかチェロを趣味とするエリートの人って、カッコいいですよね。
高嶋:でも、趣味にするにしても、自転車とか水泳みたいに、一回できたら忘れないならいいけど、チェロとかヴァイオリンって、やめたら初心者みたいになっちゃうんです。それで、「昔やってたんだよ」「じゃ、弾いてみて」「いや、無理無理」ってなっちゃう。だからヴァイオリンとかチェロって趣味にしづらいのかなとは思いますね。
林:なるほどね。
高嶋:うちの母は、私たちが大きくなってからまたピアノを始めて、友達とカルテットを組んだりしてすごく楽しそうでしたけどね。
林:私がうらやましいなと思うのは、東京のおハイソと言われるおうちって、家族で合奏するんですよね。天皇家みたいにお母さんがピアノを弾いて、お父さんがチェロを弾いてとか。たとえプロになれなくてもすごくうらやましい。