サンタクロースが首を吊る姿の表紙
サンタクロースが首を吊る姿の表紙

横尾:タイトルは毎回同じ書体なのが僕は嫌だったの。それで、毎回書体を変えたら、矢崎さんがエラい人に怒られて。始末書書いて「毎回書体を変えることはしません」って謝った。だけど、僕がまた変えたら、また謝りに行ったよね。

矢崎:横尾ちゃんは言うこと聞かないのよ。何を言ってもね。もう変えないでねと言っても、「うん、わかった、わかった」って言ってたけど、好き勝手にやっちゃう。取次からや書店から大騒ぎになって、始末書を書いても書いても、横尾ちゃんは平気だからね。それが1年続いたね。

横尾:1年も続かなかったよ。1年だったら12回も始末書書かなきゃいけなかった。そんなに書いてないでしょ。

矢崎:横尾ちゃんの勝手気ままっていうのはすごいね。1966年12月号にサンタクロースが首吊りしている絵を描いたわけですよ。

横尾:12月号だから、サンタクロースを描こうと思ったんだけども。どうせ長続きしない雑誌だからサンタクロースに首吊らしてやろうと思って、それが「話の特集」の終刊号になったね。僕の予言的中ね。僕としては「やったね」って感じで、サンタクロースが死んだんだから、本も死んだ。

矢崎:横尾ちゃんがやってることはね、もうメチャクチャ。誠ちゃんに、横尾ちゃんを変だとか嫌だとか思わない?と聞くんだよ。誠ちゃんは「僕は横尾ちゃんが好きだから」って言うからね。このままじゃ会社潰れるんだよって。それで潰れたからね。でもお金あるやつがいっぱい執筆者にいて、それで(67年に)復活したね。

横尾:あり余ってるのがいっぱいいた。

矢崎:みんな(復活のために)10万円持ってくるような雑誌だった。横尾ちゃんのお兄さんが大阪の印刷会社の社員で、その会社はミシンメーカーの下請けで、お客さんのために家計簿をつくることになって、その会社が寺山修司に1千万円渡して家計簿づくりをお願いしたんだよ。するとそのお金を寺山が「話の特集」に回したんだよね。

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