タイムで見ても、その進化ぶりが分かる。2008年の北京五輪(塚原、末續、高平、朝原)が38秒15で、2012年のロンドン五輪(山縣、江里口、高平、飯塚)は38秒35、2016年のリオ五輪(山縣、飯塚、桐生、ケンブリッジ)では37秒60。そして2017年のロンドン世界選手権(多田、飯塚、桐生、藤光)が38秒04で、2019年のドーハ世界選手権(多田、白石、桐生、サニブラウン)では37秒43を叩き出した。現在、この37秒43が日本&アジア記録だが、単純計算ながら自己ベスト10秒19の白石の代わりに同9秒95の山縣が入れば、タイムは縮まる。ジャマイカの世界記録(36秒84)には及ばないが、東京でも金メダル最右翼となるアメリカの2019年ドーハのタイム(37秒10)に肉薄することが可能となる。

 世界選手権王者のアメリカも2019年からメンバーが代わっており、選手の自己ベストでは残念ながら敵わないが、そこは日本のお家芸であり、2001年の導入以降、練度を高めてきた「アンダーハンドパス」でカバー。これまで通り、チームワークで「個の力」の不足分を補う。第1走者・多田、第2走者・山縣がほぼ確実で、それに続く第3走者、そしてアンカーの人選が注目されるが、誰が走っても「東京で金メダルを!」の想いは強い。8月5日の予選を経て、翌6日の決勝へ。彼らが美しいバトンリレーを決めて「史上最強」を証明する走りを見せた時、ついに表彰台の真ん中に立つことができるかも知れない。その可能性は、十分にある。

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