右末梢性顔面神経麻痺を公表した佐々木彩夏さん(C)朝日新聞社
右末梢性顔面神経麻痺を公表した佐々木彩夏さん(C)朝日新聞社
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 7月24日に人気アイドルグループ・ももいろクローバーZの佐々木彩夏(25)が「右末梢性顔面神経麻痺」の診断を受け、入院することが所属事務所から発表された。この「末梢性顔面神経麻痺」とは、いったいどのような病気なのか、専門医に話を聞いた。

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<びっくりさせちゃってごめんなさい。いまは入院させてもらっていて、治療に専念させてもらっています。初めてのことばかりですごく心細いですが、1日も早く完治できるように安静にしてます!>

 7月24日、ももいろクローバーZの公式サイトで、メンバーの“あーりん”こと佐々木彩夏が右末梢性顔面神経麻痺と診断を受け、即日入院したことが報告された。「末梢性」という聞き慣れない病名について、東京逓信病院耳鼻咽喉科部長の八木昌人医師はこう話す。

「この『末梢性』というのは、脳の病気ではなく、神経が脳から出てきて顔中に分布する過程のどこかで病気が起こっているという意味です。『顔面神経』は、顔の表情筋を動かす神経なので、それが麻痺してしまうと自分の意志で顔を動かすことが難しくなります」

 原因はどういったものなのだろうか。

「恐らく、今回発症されたのは突然発症したタイプだと思うのですが、その場合、割合として多いものが2つあります。まず、顔面神経麻痺の中で最も頻度が高いのがベル麻痺です。昔は原因不明とされることが多かったのですが、最近の研究でヘルペスウイルスが関与しているのではないかということが分かってきています。次に、顔面神経麻痺のうち2割くらいを占めるのがハント症候群です。こちらは、帯状疱疹などを起こす水痘・帯状疱疹ウイルスというウイルスが原因です」

 どちらも、ウイルスが原因と考えられているというが、新たにウイルスに感染して発症するわけではないという。

「そもそも、ヘルペスウイルスにしても水痘・帯状疱疹ウイルスにしても、多くの人が体内に持っているウイルスです。水痘・帯状疱疹ウイルスは、水疱瘡にかかった後、治ってからも体外に出ず、体内のあちこちに潜んでいます。そういったウイルスが何かをきっかけに再び暴れだすことで、ベル麻痺やハント症候群を引き起こすのです」

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