投資も税制が優遇される制度から優先的に活用する。初心者は少額から投資信託を購入できる「つみたてNISA」をスタート。金融機関の口座から毎月自動引き落としにすれば手間もかからない。竹川さんは言う。

「投資は現役のうちに少額から始めて慣れておくことが大事です。月々の収入の一部を貯蓄と投資に振り分けて、リタイアまでに必要な資金を作る。退職金でいきなり投資デビューしようとする人が多いのですが、お勧めしません」

 アエラのアンケートでは投資信託を購入している人が多かった。元銀行員の女性(48)は、夫との離婚を視野に入れ、金銭面で独立したいと投資を続けている。「NISA」は毎年120万円の非課税投資枠の上限まで。金融機関に一任して投資信託を売買する「ファンドラップ」は5年で2倍になった。

「忙しいのでまめにチェックはできませんが、バランスよく投資しようとしています」

■口座とカードを減らす

 会社員の女性(50)は金融資産と年金を見直し、一覧表を作った。年金の受給見込み額は月約20万円。独身でマンションを所有しているが、今の生活レベルを保ちつつ、習い事などもしたいので、預金2千万円では足りないとみている。

「投資信託と株は長く持っているので大きな損はしていません。死ぬまでにお金を使い切ってゼロにするのが目指すところです」

 竹川さんは、家計の管理も大事だと言う。マネーフォワードなどの家計簿アプリで「見える化」し、金融機関の口座とクレジットカードの数を減らしてシンプルにする。結婚している人は年に1回、夫婦でお金の情報公開をする。世帯の合算で考えないと意味がないからだ。

 ここまでの話の大前提として、竹川さんはリタイア後に誰と、どこで、どんなふうに暮らしたいのか、ライフプランを考えてほしいという。夫婦で今の家に住むのか、故郷に帰るのか、海の近くで暮らすのか。生活で支出は大きく変わってくる。

 現在の金融資産、リタイア後に受け取るお金を毎年チェックしていくと、見通し額がだんだん現実に近づいていく。

「それに応じて、まだ元気だから60歳で辞めないでもう少し働こうとか、貯蓄のペースを上げようとか、具体的にやるべきことが見えてきます。資金が足りなければ、生活圏を郊外に移すなど、支出を抑える方法を検討しましょう。一度きちんと整理してみることで、お金に関する不安も和らぎますよ」

(ライター・仲宇佐ゆり)

AERA 2021年8月2日号より抜粋

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