ケアハウスは居住費(家賃相当)、生活費(食費と、共用部分の水道代、光熱費)、事務費(サービスを提供する人の人件費)を毎月納めるのだが、事務費は個人の前年度の所得によって異なる。所得が多い人は「多く納める」仕組みになっている。

「ご夫婦そろっていたときから自宅で小さな会社を経営していた方が、奥さんを亡くして、一人になってこちらに移ってきた例があります。当然、事務費は最高額でしたが、食事やお風呂の支度をしなくて済む、安心して暮らせるので助かると、ここで生活していました」

 この男性はひとり暮らしで身寄りも遠方にしかおらず、持病もあるので病気が進んだ場合のことも考えての入居だという。

 それではケアハウスの入居者はどんな仕事をしているのだろうか?

 仕事はシルバー人材センターで探す人が多いようだ。高齢者向きのさまざまな仕事があり、自分の体力、知力に合った仕事を選べる。

 それまでのキャリアや技術、得意なことを生かしての仕事というのもある。

 趣味で描いていた絵画が展覧会で入賞し、画家としての収入も得るようになったという人、居室でパソコンを使い、コンサルティングの仕事をしている人、執筆業をしている人……など、さまざまだ。

 以前、筆者が訪問したケアハウスで、昔の着物をリメイクした素敵な洋服を着ている方がいた。その方はケアハウスに入居後も友人に頼まれて、着物をおしゃれな洋服にリメイクするのを仕事にしていた。「楽しいし、お金もいただけるし」と笑顔で話した。

 また、知り合いの紹介で週に数回守衛の仕事をしている人、求人チラシを見て朝早く仕事に行き、夕食時間に間に合うように帰宅する人もいる。

 別方面からの意見もいただいた。

「国民年金だけの人で貯金のない人には、ケアハウスの費用は厳しいです。医療費や交通費に困っている人もいます」

「シルバー人材センターを勧めたくてもすでに仕事ができるレベルではない人もいます。特別養護老人ホームは要介護3から入れますが、要介護2の人で症状がいろいろある人はケアハウスで暮らすには厳しくて特養にも入れない。こういう人たちに対しての他のケアハウスの取り組みも知りたいです」

 このケアハウスシリーズを通して、各ケアハウスや、ケアハウスに注目してくださる方の意見をいただけるとありがたいです。取り上げてほしいテーマなどがありましたらお寄せください。よろしくお願いします。

週刊朝日  2021年8月13日号

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