民主主義社会において、デマやフェイクでなければ、政治家の批判は自由にされていい。というか、それが出来てこその民主主義社会である。
そしてもちろん、東京五輪後、JOC、組織委員会、国、都、メディアの検証は、すぐ徹底的になされるべきだとあたしは思っている。ぐだぐだな開催であったから、いわれる方は耳が痛いものになるに違いないが。こちらはアスリートへの誹謗中傷とは違う。
このことを恐れるあまり、オリンピック関係者が今、アスリートへの誹謗中傷はいけないというキャンペーンをおこなっているんじゃないかとすら疑う。あたしや多くの人が苦しんでいたときには、なにもしてくれなかったくせして。
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
※週刊朝日 2021年8月20‐27日号