作家・室井佑月氏は、誹謗中傷と批判の違いについて語る。
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8月1日の「デイリー」の「アスリートへのSNS中傷、JOCが警察への相談も検討『断じて許されない』」によれば、
「東京五輪の日本代表選手団の福井烈団長、尾縣貢総監督が1日、東京都江東区のメインプレスセンターで大会の中間報告会見を行った。SNSでアスリートを中傷する投稿が問題視されていることについて、(中略)福井団長は『状況によっては関係機関に協力する』と警察等への協力要請も検討する可能性があることを明かした」
そんなに酷(ひど)いことになっているんだ? いったいどんな誹謗(ひぼう)中傷を受けているんだろうと思っていたら、同じく1日、「Nnmber Web」に「『クズ』『インチキ野郎』『日本から出ていけ』“誹謗中傷”をぶつけられたアスリートへ『気にしないようにすればいい』という無責任さ」というものが載っていた。
記事によると、選手には「クズ」「インチキ野郎」「日本から出ていけ」といったものや、「(今回の五輪に限らず)代表のベテラン選手に対して『ごみ』、『老害』などの言葉がぶつけられ、同様の中傷が家族などにも向けられたという」
これ、あたしが長い間、ずっとやられてきたことだ。「日本から出ていけ」などはしょっちゅう、家族を絡めての悪口などもしょっちゅう。あたしの年齢や女性であるということに絡め「ババア」などといわれたりもだ。
誹謗中傷は許されない。これからは警察沙汰にまで発展するのもいいかもしれない。しかしそれは、アスリートに限らず、誰に対しても等しくなされなければおかしい。
このようなことをいうと、あたしが書いている政治や政治家批判も誹謗中傷ではないか、という者が現れるけどそれは違う。
自由な意見論評は、民主主義社会において当然認められるべきもの。刑法においても、公職にある者、もしくは公職に就くことを目指す者の、事実に係る批判は、罰せられない。