居住地で接種ができないので、自衛隊が運営する大規模接種センター(東京)に申し込もうとした。だが、ここでも「まったく予約がとれない」と女性は言う。当時、同センターでは毎日受け付けていた約1万人の接種予約をはるかに上回る申し込みが殺到していたのだ。

 最後に頼ったのは、東京都が大学と連携して設置したワクチン共同接種会場だった。これは都内大学に通学する学生や教職員に向けに設けられた会場で、青山学院大学(渋谷区)、一橋大学(国立市)、東京都立大学(八王子市)の3カ所がある。予約受付は7月27日から始まった。

 開始当日、すかさず予約サイトにアクセスしようとするも<しばらくお待ちください>と表示され、なかなか先に進めない。ようやく予約画面にたどり着いたのはアクセス開始から約3時間半後だった。待ったあげく、予約の枠はすでに埋まっていた。女性は「心が折れました」と、ぽつり。

 結局、接種予約ができたのは8月中旬のこと。1回目の接種は8月下旬に決まった。

■接種が授業と重ならないか

 その際にも悩みはあった。3週間後に行う2回目の接種だった。

 一般に、新型コロナのワクチンは1回目の接種後、3~4週間空けて2回目の接種にのぞむ。となれば、その「3週間後」がいつになるのかもポイントになってくる。女性は言う。

「1回目は夏休み期間中なので大丈夫でしたが、2回目は休み明けで、授業と重なってしまいそうでした。それに接種の翌日以降に副反応が強く出て、授業に出席できなくなるのが心配でした」

 大学はワクチン接種について学生にどのような発信をしているのか?

 東京都は若者にワクチン接種を勧めているが、「感染症予防の効果と副反応のリスクの双方についてご理解していただいたうえで、自らの意志で接種を受けていただいています」というスタンスだ。そのため、大学も学生に対して積極的にワクチン接種を呼びかけているところは少ない。

 一方、ワクチン接種で授業や試験を欠席せざるを得ない――そうした場合、何か配慮はされるのだろうか?

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残ったのは絶望感